12.05.2009

Trans

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大阪から福岡まで行って帰ってきた。
長距離の移動といえば、バスかフェリーか、という二つの選択、それも他力での移動手段しか持ち合わしていなかったが、今回から国道を自動車で、という今までに無い自力での移動を試みた。

事前にナビタイムとかいう時間とか距離を計測してくれるサイトで確認してみるも、何故かエラーが出てしまって実際どのくらい所要時間がかかるのかよくわからない状態で出発。
大阪から福岡まではほぼ国道2号線が一本で続いているので、とても明解なルートだったが、出発時間を誤ってしまい、ずっと夜中に運転することになってしまった。

数メートル先を走るトラックのテールランプの灯りだけをずっと見て運転。

そうすると、高校の頃、バスケのシュートを決めるためにやっていたメンタルトレーニングと同じ状態になった。真っ暗の中でライターの火を点けたり消したりしてトランス状態になり、その中でボールがリングに吸い込まれる光景だけを脳裏に描く。そして「入る、入る、必ず入る」とつぶやく。3ポイントが武器だった僕は、試合の前にはこれをやっていて、すごい確立で入る事もよくあったが、トランス状態が長く続くという危険もあり、そのおかげで高校時代は平気で人を傷つけることができたし、平気で人の頭の横で金属バットをフルスイングすることができた。まさに「地元で人の頭に金属バットをフルスイングできるのは、ウシジマ君か前田か」(『闇金ウシジマ君』を参照)といったところだった。

人間の習性というのは恐るべきもので、そのトランス状態が闇夜のトラックのテールランプによって容易に作り出されてしまったのだ。
「入る、入る、必ず入る」と僕はつぶやきながら、関門トンネルに入ろうとしていたのだ。だがその関門トンネルは終日通行止めで、入れなかった。トランス状態が続いていた僕は、関門海峡を渡るには関門トンネルを通るしかないという、トランス状態が原因というよりは、明らかに25歳にして「無知」という名の地理的な情報リテラシーの欠如によって、あやうく九州入りを断念する一歩手前になるほどのひどい絶望感を感じたという。(何のことはない、下関ICから北九州の門司港ICまで橋がかかっていたから、ささっと九州には上陸できた)

福岡に入った後も、僕はトランス状態のまま、主目的の取材と営業をこなした。
「入る、入る、」とつぶやきながら、いくつかの本屋さんに入って、見事に月刊シミュレーションを置いてくれるお店が1つ増えた。(こちらを参照

帰りももちろんトランス状態で、600キロの道のりの中で計10回程コンビニに入り、1回ガソリンスタンドに入った。どうしてもトイレに行きたかった時があり、1回だけコジマ電器に入った。

途中で立ち寄った岩国の錦帯橋の裏側の木の組み合わせが美しかったが、その向こうにある岩国城には入ることができなかった。呉の造船所にはしっかりと入ることができた。神戸までたどり着いた途端に気が抜けて信号無視をしてしまい、パトカーに入る事にもなった。

楽しかったな、ほんとに。
「ウシジマ君」の部分は、ちょっと言ってみました、の状態になってしまっているな。残念。

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