12.21.2010

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ハワイに行く事を決める奴もいれば、壊れてしまった奴もいた。
いつもと同じようでまったく新しい景色だった2010年のラスト。

Hideo

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僕と橋ロシア君で保護して育てている久男(ヒデオ)。推定6歳。
アパートの空き部屋で隔離生活中。
保護から一週間は何も飲まず食わずで瀕死の状態が続いたけれど、病院に2日入院したらご飯を食べるようになった。
最近はよく食べる。
ウンコを寝床でして平気な顔をしているので、生活力が低い。

とにかく手間がかかって仕方ない。
もう二度と野良猫を助けることはないだろう。

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この日のこの光景の後、なかなか忘れられない出来事が起きたので、記録しておく。

12.15.2010

Tape

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今日拾ったもの。

12.03.2010

Russia vol.2

僕が心底可愛がってる二匹の猫(「あんずちゃん」、「ライム君」)に続いて、また新たな猫が現れた。

これまでも、新たな猫は現れていたのだが消えていった。あんずちゃんの餌を奪う「ふてこい奴」や、ライム君を連れ去ろうとした「スマートな奴」などのあからさまな敵としての存在だったので、追い出した。


昨日、友人の橋ロシア君が「アパートの近くで弱った猫が歩いている」と言うので、駆けつけた。
本当に、ロシア君の横を猫がとぼとぼ歩いていた。とぼとぼというか、フラフラの瀕死の猫だった。
僕が大きめの足音で走って近づいても、まったく逃げるそぶりもせず、大きな道路を目指して止まることなくゆらゆらと進んでいた。

今まで見た中の猫で一番の目ヤニと膿の量で、ダクダクの汁に隠れている目は見えてるのかどうかも定かではない。
5ヶ月齢のライム君よりも一回り大きいくらいの体は骨と皮しかなく、尻尾も付け根のとこで切れている。鳴き声も枯れていた。これはもはや死ぬしかない状態だなと思った。

そんな猫の後をつけながら、ロシア君は
「なんとか助けられないか」
と言う。

僕は、聞こえないふりをした。

猫は道路脇の側溝に降りる。ドブの汚い水を飲もうとしている。
ロシア君はそれをみかねて側溝に降り、猫を抱えた。

「こいつはサムライ。サムライのように真っ直ぐ道を歩く、猫。」
と言いながら連れて帰ろうとする。

「無理、放っとこう」
と僕はロシア君を止めたが、

「運が悪いだけ。運がわるいだけ。」
そうやって何度も「運が悪いだけ」を連呼しながら、猫を抱えたロシア君はアパートに向かって走り始めた。
近くの電線にはカラスが仲間を集め出していたが、ロシア君の声を聞いて飛び去った。


アパートに猫を連れ帰ったロシア君は汁だらけの顔を湛然にティッシュで拭き、水を飲ませ、キャットフードを食べさせた。
段ボールと毛布を用意すると猫はサッと中に入り、幸せそうに眠り始める。

そこに偶然、空手の師匠と呼ばれる友人が通りがかり、僕は一通りの顛末を説明した。
空手の師匠は、ロシア君に向かって「俺は賛成しないけど」と言った。
ロシア君は空手の師匠に殴り掛かった。空手の師匠は左上段の構えで素早くでロシア君の右腕をいなしながら、「否定的な意見ではない」と謝る。僕は仲裁に入りながらも、空手の師匠の筋の見えない言い訳に、呆れた。


「俺も昔はそうやったよ。付き合ってた女が捨て猫を拾って来た時は反対してた。偽善なことすんなって。
でも、インドのコルカタに行って俺は変わった。マザーテレサの『死を待つ家』で、俺は変わった。君らもインドに行ったほうがいい。いつ、インドにいくんだ。」
ロシア君は得意気に、今年になって何度目かのインドの話をし始めた。ロシア君は何かとインドと精神論を結びつけ、僕らにインドを薦めるという癖がある。
空手の師匠は新しく買ったアンドロイド携帯のアプリを立ち上げたり消したりし、僕はシャツをくんくんしてワキガチェックをすることで、ロシア君のインド話に話題がスライドするのを阻止した。

とはいえ、彼のあまりの熱意に根負けして僕は腹をくくった。
「ちゃんと責任とったらいいねん。死ぬまで面倒みようや。明日、病院に連れていこう。」と提案。

ロシア君は顎を出して少し照れた顔でつぶやく。
「費用は俺が出す。俺が全部責任取るし。」

空手の師匠は、
「なんか俺にできることあったら言ってな」
と言い、僕らは三人で駅前のホルモン定食を食べに行った。



そして今日、
橋ロシア君は僕の前から姿を消した。



嫌がる猫を段ボールに入れたまま病院に連れていき、
僕は初診料と栄養剤の点滴と抗生物質の注射、ノミの除去など総額15000円の診察料をクレジットカードで決済した。


ロシア君が帰ってきたら、この猫に名前をつけよう。



10.12.3
前田裕紀