6.30.2009

Accordion

■ 人に電話をした時、「今電車の中やから」と言うと、「すみません、後からかけ直します」となるのが、もうある種の不文律となっている。その辺をなんとかしたくて、実験的に昨日の6時、必ず電車に乗っているサラリーマンの友人に電話をした。

電話に出た友人は、やはり電車に乗っていたので、「今電車の中やから」と答えた。さも次のセンテンスである「かけ直します」を待っていたかのように。

でも僕は、少し間をあけてから声を限りに言う。
「切らんとって」。

少し通話が途切れた。雑音だけが続く。
そして少しの間を置いて、友人の声が聞こえた。「移動した、アコーディオンのとこまで」と。

たぶん連結部分のところ。普通の車両にいるよりも、電車の走る音が響く。
アコーディオンのとこはさぞかし足場が不安定だろう、お勤め後の疲れたその体で。

アコーディオンのとこまで移動する間は、携帯電話を通話状態で耳元から離し、メールを見てるふりをしていたそうだ。
僕は「ありがとう」と言って、前の日の初めての草野球でヒットを打ったこと、そして次の日は筋肉痛で体が痛いことを一方的に、いつもよりゆっくりと話した。彼が電車からおりるまで。

なぜ一方的に話したかというと、電車がトップスピードになっていたので、もはやアコーディオンのとこにいる彼の受話器は電車の走る音と風の音ばかりを拾っていたからだ。
でもなるほど、そういう意味でもアコーディオンだなぁ、と思った。


僕は、心がアッパーになって、でも何もやる気が起こらない時は、こういうことをして過ごしている。

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